愛媛県???

今治市宮窪町の奥にそびえる『村上水軍博物館』
その前に立つ、ショートカットが目印の女子大生。
名前はウシオ。
松山市の某大学に通う、今治市出身の元気で明るい女の子である。
休日を利用し、念願の村上水軍博物館を訪れたのであった。

 
										
村上武吉の銅像や、館内の資料や歴史にいちいち感動しながら見て回るウシオ。
子供の頃から、海と海賊に心惹かれるものがあり、今日はいつも以上にテンションが上がっている。

博物館二階の景色から見える小さな島・能島を見て不思議と懐かしい気持ちが湧いてくる。
あれが能島。海賊達が拠点にしていた島…。小さいけれど、強い力を感じる島だわ…

博物館二階、奥の間にある資料コーナーの、武吉が着ていたと言われる、赤い羽織の前に立つと、懐かしい気持ちが更に強くなり、胸が高鳴りはじめる。
 
										
ガラス越しに触れようとした瞬間、眩しい光に包まれた。
な、何!?
 
渋い声と共に現れたのは、大きな髭を蓄えた、赤い羽織りを着た精悍な武将。
それはまさに、往年の村上武吉であった。
 
										うっすら透けていて、足も無い。武吉の亡霊である。
 
										 
										 
										 
										 
										
そう。
ウシオは、田舎から人が離れて行く現状を嘆いており、自分の生まれ育った今治市、そして愛媛県の良い所をもっと沢山の人に知ってもらって楽しんでもらいたいのに!!と常々考えていたのだ。
 
										 
										 
										 
										 
										(その姿でネットとか言われると…ちょっと…)
言ったであろう。おぬしの中からずっと見ていた、と。現代の世は、何とも楽しそうな世界であるな。見ているだけでワクワクしたぞい!
 
										 
										 
										武吉の言葉に、やる気が湧いてくるウシオ。
 
										 
										
 
										 
										そう言うと、武吉は白く光り、ウシオのスマホのストラップ人形の中に吸い込まれていった。
 
										 
										さっきまで、ウシオの好きなキャラの人形だったストラップが、少々いかつくなり、デフォルメされた武吉のストラップ人形になってしまった。特徴の大きな髭は更に目立ち、赤い羽織りを着用している。
 
										 
										 
										可愛いとは何事ぞ、、、!
 
										 
										タケヨシ人形の手を取り、はしゃぐウシオ。
 
										 
										男の子の声が聞こえ、振り返ると…
外国の、まるでカリブの海賊が被るような帽子をかぶった、金髪碧眼の男の子がいた。
 
										 
										目を輝かせている男の子。
 
										えーと…。この人形の中身はタケヨシさんだけど、幽霊で…何て説明したらいいのかしら
 
										 
										カイゾクになりたいんだ。強くてかっこいいでしょ。僕のパパもお船の仕事をしているんだよ。
 
										今日は、パパとママが海賊好きなボクのために連れて来てくれたんだ。
二人は今、下のフロアでDVDを観ているけどね
興奮気味で一気に話す男の子にタジタジになりながらも微笑むウシオ。
 
										 
										 
										 
										 
										 
										 
										 
										両親と一緒に博物館を後にするジャックの後ろ姿を見送る2人。
 
										 
										自宅のPCの前で作業をしているウシオ。
 
										サイトのいい名前が浮かばないよ?。海賊のかわらばん、じゃ何だか古くさいし、愛媛の事情、じゃ何だかワケありみたいだし…
 
										 
										モンモンと悩むウシオを見ていて、何かを閃くタケヨシ。
 
										 
										そんな2人を窓の外から覗く人影がある…。
 
										 
										そう言いながら、窓を開けて入ってきたのは、人では無く、何とも可愛らしい三毛猫であった。直立二足歩行をし、エプロンを着け、買い物カゴを持っている。
 
										猫となっ!?
 
										可愛らしい猫が喋っている光景はちょっと不思議だが、人形に幽霊が憑依し、喋るのを目の当たりにした今となっては、何でも無い事のようにウシオは感じ、何も突っ込まなかった。というより、越智さんの勢いに突っ込めなかった。
 
										 
										 
										 
										そう言うと、軽やかに越智さんは去っていった。
 
										 
										
 
										こうして---
愛媛の地域密着型情報発信サイト「海賊つうしん。」は立ちあがったのであった。
 







