愛媛県松山市にある「石手寺」(いしてじ)を紹介します。
愛媛県下の国の重要文化財(建造物)49のうち7つが石手寺にあり、そのなかでも仁王門は国宝。
「石手寺」は道後温泉から1km程と近く、四国遍路の元祖といわれる衛門三郎伝説ゆかりの寺としても知られ、愛媛県を代表する四国八十八ヶ所霊場の1つです。
広大な敷地には重要文化財の建造物のほか、七転八起を祈る元気石やマントラ洞窟、四国八十八ヶ所お砂撫で(おすななで)など見どころ満載なお寺。
また、観光ガイドブックの「ミシュラングリーンガイドジャパン」で1つ星にも選定され松山観光の定番スポットとして人気です。
大勢のお遍路さんや観光客が訪れているのはもちろん、四国の弘法大師ファンの中心的なお寺であり、初詣の参拝者数は愛媛県内トップの24万人以上と、地元でも多くの人々に愛されています。
今回は石手寺について、情報満載でお届けしていますので、ぜひご覧ください!
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石手寺とは?
松山市にある石手寺についてご紹介しますね。
四国霊場八十八ヶ所霊場といって、弘法大師こと空海の四国ゆかりの八十八寺院のことを言いますが、石手寺は、その五十一番札所です。
「お大師さん」(弘法大師のこと)の愛称で呼ばれるほど、弘法大師ファンが多く集まるお寺です。
石手寺の裏山には日本一の高さを誇る「日中友好弘法大師像」があり、その姿は松山城からも、四国霊場・五十番札所の繁多寺(はんたじ)からも観ることができます。
石手寺の位置が確認できるシンボルとなっています。
八十八は人間の煩悩の数と言われており、八十八ヶ所を巡ることで煩悩が消え、満願成就し、やすらかに成仏できると言い伝えられています。
「ミシュラングリーンガイドジャパン」で1つ星に選定されてもいて、歴史深い寺です。
戦国時代よりも昔の1200年以上前の奈良時代728年、聖武天皇の勅願により、伊予の豪族・越智玉純(おちのたまずみ)、別名、河野玉澄(こうのたますみ)が夢でこの地は霊場と感得し、熊野十二社権現(くまのじゅうにしゃごんげん)を祀る道場を創ったのが始まりとされています。
翌年729年に、奈良の大仏建立の責任者として有名な行基(ぎょうき)が、薬師如来を本尊に安養寺(あんようじ)という寺を開基しました。
813年に弘法大師が真言宗に改め、平安時代の892年、衛門三郎の再来伝説にちなんで石手寺と改称されました。
石手寺基本の参拝方法
石手寺はとても広いので、あらかじめ、参拝の順番を決めておくのがおすすめです。
ホームページによると、元気の出る右回りと布施心の左回りだそうです。
石手寺には本堂と本殿があります。
石手寺の基本の参拝方法を事前に案内しますね。
石手寺には、国宝や重要文化財がたくさんありますが、お線香代やお賽銭が拝観料の代わりとなります。
ろうそくとお線香を100円でご購入くださいね。
ろうそくに火をつけて本殿に立て、お線香を2本ずつ各お堂に立てます。
最後は、お線香を香煙台に立てます。
お線香の煙で身体の悪いところが治ると言われています。
お線香の火は中心までなかなか点かないから、しばらく火のことろに置いておくのがポイントです。
お遍路第1号・衛門三郎の伝説
石手寺に入ると、手水場(ちょうずば)と、渡らずの橋があります。
お地蔵さんがいるところです。
弘法大師が渡ったとされる橋で、「弘法大師お道開きの橋」と言い、後は誰も渡ってはいけないと言われています。
傍らには四国遍路の第1号と言われる衛門三郎像があります。
入ってすぐの大門に向かって左斜め前辺りです。
今から1200年前、荏原(えばら)という村があり、そこに衛門三郎という傲慢で強欲な大地主がいました。
ある日、屋敷の門に生き倒れそうな薄汚れたお坊さんが来ましたが、衛門三郎は竹ぼうきで乱暴に追い払ったそう。
その時に、お坊さんが持っていた鉢が八つに割れ、その後、衛門三郎の八人の息子が相次いで亡くなってしまいました。
その僧侶というのが実は、若き日の弘法大師だったそうです。
衛門三郎は最愛の息子たちを亡くし、今までの村人への非道な行いを含め、懺悔と謝罪をするべく、弘法大師に会いに四国八十八ヶ所の寺をまわる旅に出たと言われています。
ところが、衛門三郎は八十八ヶ所を20回もまわったものの、弘法大師には会えませんでした。
そこで八十八番札所を逆にまわってみたのですが、とうとう第十二番の焼山寺(しょうざんじ)の近くで病に倒れてしまいます。
すると、弘法大師が現れ衛門三郎は謝りますが、後は涙で言葉が続かなかったそうです。
弘法大師は近くの石を拾って「衛門三郎再生」と書いて、衛門三郎の左手に握らせ、衛門三郎は静かに息を引き取りました。
その後、時代は移り変わり、伊予の豪族河野息利に長男が生まれたのですが、左手を固く握って開こうとしなかったそうです。
そこで安養寺で祈願したところ、手を開き、「衛門三郎再生」の石が出てきたそうです。
この石は安養寺に納められ、寺号を「石手寺」と改めました。
その石は現在でも保管されており、石手寺の宝物館に「玉の石」として安置されています。
石手寺の重要文化財7つの紹介(国宝1つ含む)
石手寺の7つの重要文化財をご案内します。
1・仁王門(国宝)
まずは、国宝の仁王門です。
衛門三郎像を左にし、回廊の石畳を進んで行くと、仁王門が見えて来ます。
1318年の鎌倉時代に建てられたもので、運慶の傑作と言われています。
2・本堂(重要文化財)
続いて、重要文化財の本堂です。
仁王門をくぐると、正面にあります。
仁王門と同じ頃に建てられたもので、鎌倉時代の雄巧な建築の特徴がよく出ています。
3・三重塔(重要文化財)
仁王門をくぐり、本堂に向かって右手にあるのが三重塔です。
左右の均整が取れていますね。
4・鐘楼と銅鐘(重要文化財)
その奥に鐘楼(しょうろう)と銅鐘(どうろう)があります。
この中にある銅鐘は住職しか撞けないことになっているそうです。
5・護摩堂(重要文化財)
鐘楼から北に道を登ると護摩堂(ごまどう)があります。
護摩堂は室町時代初期に建てられたもので、他の重要文化財の建造物とは違い、純朴で和な造りになっています。
6・訶梨帝母堂(重要文化財)
護摩堂をさらに北に上っていくと、訶梨帝母天堂(かりていもてんどう)という鬼子母神さまのお堂があります。
鎌倉時代末期に建てられたもので、小さく繊細で美しい造りになっています。
7・五輪塔(重要文化財)
7つめの重要文化財は、鎌倉時代末期に造られた五輪塔です。
境内の裏手にあります。
1567年、源頼朝の供養塔として祀られているそうです。
重要文化財(歴史的資料)がある宝物館
先程紹介した建造物の重要文化財のほかにも、宝物館には、重要文化財(歴史的資料)がたくさん貯蔵されています。
ぜひ覗いてみてくださいね!
入館料や開館時間は以下のとおりです。
入館料 | 大人200円 中学生150円 子ども100円 |
---|---|
開館時間 | 8:00~17:00 |
2016年2月6日放送の「ブラタモリ」で紹介された、道後温泉の優待券である石手寺制札(せいさつ)もここに貯蔵されていますよ。
毎月5の倍数の日は石手寺の僧侶以外は入浴禁止となっていたので、当時の権力を物語っていますね。
石手寺・石のお守りと願かけパワースポット
石手寺はパワースポットとしても知られています。
詳しくはパワースポットのページをご覧ください。
石手寺を代表する3つの石があり、石手寺に置いてあるパンフレットにも掲載されています。
石手寺のパンフレットより
3つの石の1つである「玉の石」は、先程衛門三郎再来伝説で出てきた「玉の石」です。
残りの2つの石には願かけの習わしがあります。
子宝安産のお守り石
訶梨帝母天堂のところに、子宝石という石がたくさんあります。
その石をお守りとして持って帰ると子宝に恵まれ、安産で出産できると言われています。
子どもが無事産まれたら、持って帰った石に生まれた子の名前と生年月日を書き、別の新しい石と一緒に2つ返します。
元気(再生)の石
もう1つの石は、本堂に向かって左側にある元気石です。
衛門三郎の罪と再生の伝説にちなんで、石を1つ持って帰り、1年したら改心と復活をし、7つ添えて8つ返す。
七転び八起きの石と言われています。
仁王門の大わらじ
石手寺には、他にも仁王門にある大わらじには、足の悪いところを願かけするとご利益があると言われています。
認知症防止を願う阿弥陀堂
そして、仁王門を入ってすぐ左にあるお堂の阿弥陀堂には、認知症防止の願かけをすると良いと言われています。
ミニ四国八十八ヶ所霊場巡りができる「お砂撫で」
三重塔の1階部分の縁側に、ミニ四国八十八ヶ所霊場巡りができる「お砂撫で」(おすななで)というものがあります。
住職が持ち帰った四国八十八ヶ所の砂です。
撫でながら、八十八の煩悩を沈め、人々の平和や健康を願います。
逆打ちした衛門三郎にちなんで高野山からスタートします。
閏年には逆打ちするとご利益が3倍だと言われていますよ!
摩訶不思議マントラ洞窟
なんと、石手寺には洞窟もあります。
元気石を通り過ぎ、北西に進むと、マントラ洞窟の入り口が見えてきます。
長さが160mもあり、お地蔵さんや仏像がたくさんあります。
中はひんやりと冷たく、灯りはあるものの、暗くなっています。
入口のお賽銭入れに100円を納めてくださいね。
俗世と遮断された世界観で瞑想気分が味わえるスポットです。
猛暑でもここは涼しいそうですよ!
その他のおすすめスポット
その他のおすすめスポットもご紹介しますね!
文化人の落書き堂(大師堂)と句碑
今は修繕されてしまいましたが、大師堂には昔、今年生誕150年を迎える夏目漱石や正岡子規の落書きがあったそうです。
夏目漱石や正岡子規はよく石手寺に通ったと言われています。
正岡子規の句碑もあります。
あの乱れ髪で有名な与謝野晶子の句碑もありますよ!
みかえりの桜
4月上旬に見頃なのが「みかえりの桜」。
仁王門の直前を右に進むと、突き当りの庭に「みかえりの桜」があります。
道後温泉の湯元の流れる音が聴ける石
他にも石手寺には、仁王門と本堂の中間あたりに、道後温泉の湯元の流れる音が聴ける石というものがあります。
上の四角く凹んでいるところに耳をあて、耳を澄ませてみてください。
道後温泉の特集記事もあわせてチェックしてみてくださいね!
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道後温泉に2つの伝説あり?現存する道後温泉本館の起源に迫る!
松山市を洪水から救った岩堰
石手寺から4、5分ほど少し足をのばして石手川沿いを散歩すると、岩堰や赤い橋の岩堰橋が観られます。
2016年1月31日に放送された「ブラタモリ」でも紹介されたスポットです。
石手寺からセブンスター石手店に向かって歩くと分かりやすいです。
1061年、松山藩士で加藤義明の右腕である足立重信たちがたった1年で岩を堀り、石手川の流れを変え、松山市を大洪水から救ったと言われています。
400年程で四国有数の市に発展した秘密が見ることができますよ!
石手寺名物・やきもちのお店とその他のお店
石手寺の敷地内には、石手寺名物や休憩できるお店がいくつかあります。
回廊には手作りのほうきを販売しているお店などがあります。
五十一番食堂
石手寺といえば、やきもち!
上質な米粉の生地にあんこが入っていて、甘酒と一緒に食べるのがおすすめです。
五十一番食堂の基本情報とメニュー表はこちらです。
名称 | 五十一番食堂 |
---|---|
営業時間 | 9:00~17:00 |
住所 | 〒790-0852 愛媛県松山市石手2-9-20 マップをみる |
電話番号 | 089-977-3003 |
定休日 | 不定休 |
みよし食堂
道を挟んだ向かい側にも、やきもちが購入できるお店「みよし食堂」があります。
名称 | みよし食堂 |
---|---|
営業時間 | 9:00~16:30 |
住所 | 〒790-0852 愛媛県松山市石手3-7-29 マップをみる |
電話番号 | 089-977-0500 |
定休日 | 月曜日 他不定休あり |
石手寺の主な年間行事
石手寺の初詣客は愛媛県内トップとなっていますが、お正月以外の主な年間行事としては2月3日の節分大祭、8月20日のお施餓鬼会、大晦日の世界平和万灯会などがあります。
2月3日の節分大祭では、厄除けの参拝者が多く訪れます。
8月20日のお施餓鬼会は、先祖供養とともに盆踊りがあり、出店も多く並んで夏祭りのようです。
大晦日の世界平和万灯会は、世界中の戦争や災害で失われた命を悼み、本堂や三重塔前が一面ろうそくで埋め尽くされて幻想的な様子を見ることができますよ。
2月3日 | 節分大祭 |
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8月20日 | 大施餓鬼会・夏万灯会 |
12月31日 | 世界平和万灯会 |
石手寺の基本情報とアクセス
最後に、石手寺の基本情報とアクセスを紹介します!
基本情報
名称 | 四国霊場五十一番札所 熊野山 石手寺 |
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住所 | 〒790-0852 愛媛県松山市石手2-9-21 |
電話番号 | 089-977-0870 |
開門時間 | 8:00~17:00 |
ホームページ | http://nehan.net/ |
アクセス
伊予鉄道の市内電車の道後温泉駅からは徒歩16分程度です。
最寄駅は、伊予鉄道のバス停「石手寺」を下車すると、石手寺入口が目の前です。
「石手寺」に停車するバスの路線は、伊予鉄高島屋のある伊予鉄「松山市駅」からは、8番線の道後温泉行きか、52番線の湯の山ニュータウンや湧ヶ渕行きに乗り、渋滞時でなければ所要時間は約22分、運賃310円で行くことができます。
JR松山駅の伊予鉄バス停「JR松山駅前」からでは、同じ8番線の道後温泉行きか、52番線の湯の山ニュータウンや湧ヶ渕行きに乗り、渋滞時でなければ、所要時間は約30分、運賃390円です。
時刻表や乗り場など詳細は伊予鉄道のホームページをご覧ください。
マップ
Googleストリートビュー
駐車場
石手寺には有料駐車場と無料駐車場があります。
こちらは有料駐車場です。
有料駐車場は、平日は普通車1時間で210円、土日は1時間260円です。
石手寺大門入り口の西側にあります。
料金の詳細は、いよ観光ネット「熊野山 石手寺」のページに掲載されています。
無料駐車場は、石手寺大門入り口の東側にあり、お線香やお守りの購入や祈祷など、参拝する方を対象に無料で開放しているそうです。
こちらが無料駐車場です。
無料駐車場については、石手寺のホームページでも紹介されています。
有料と無料の駐車場で、およそ80台ほど停められるそうです。
まとめ記事一覧
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