愛媛県は『日本で唯一現存天守が2か所ある県』ということをご存じですか?
1つは松山城、そしてもう1つは今回紹介する宇和島城です。
松山城に比べるとあまり知られていない宇和島城ですが、実は松山城とは異なる魅力に溢れています。
重要文化財に指定されている天守はもちろんのこと、自然溢れる登山道、宇和島市指定の有形文化財の「上り立ち門」も見どころです。
さらに、伊達政宗の長男「秀宗」と宇和島城との関係も見逃せません。
この記事では、実際の登山ルートとともに宇和島城の見どころを紹介します。
宇和島城の歴史―現存12天守の1つ
愛媛県には、現存12天守が2つあることをご存じでしょうか。
※現存12天守:江戸時代から現存している天守があるお城のことで、日本に12か所存在するもの。
愛媛県にあるのは、松山城と宇和島城の2つです。
まずは、宇和島城の歴史について簡単に説明します。
築城の名人「藤堂高虎」によって建てられる
今の宇和島城が建てられたのは1601年。築城の名人とも呼ばれる「藤堂高虎」(とうどうたかとら)によって建てられました。
藤堂高虎といえば、愛媛では水城として有名な今治城を建てた人物です。
他にも江戸城の改築や、京都の二条城の改修にも携わったことで有名です。
伊達政宗の長男「伊達秀宗」がやってくる
宇和島城の完成を見届けた藤堂高虎が去った後に、あの伊達政宗の長男「伊達秀宗」(だてひでむね)が1615年に入城しました。
秀宗は名前に「秀」とあるように、豊臣秀吉の猶子(ゆうし※今でいう養子のようなもの)でした。
しかし秀吉が関ヶ原の戦いで負け、徳川家康の時代になってしまったことで、秀宗の立場は悪くなってしまいました。
それで伊達家を継ぐことができなくなり、代わりにこの宇和島で、伊達家の別家としてスタートすることになりました。
宇和島伊達家400年の歴史
そうして秀宗から始まった「宇和島伊達家」の影響で、現代でも宇和島市には「宇和島市立伊達博物館」があったり、2015年には「宇和島伊達400年祭」のイベントが行われたりしました。
江戸時代の建物が、今なおその姿を残していると思うとすごいですよね。
もちろん修理や改修といったメンテナンスがあってのことではありますが、宇和島城は昭和25年に天守が国の重要文化財に指定されています。
登山道南側―上り立ち門と城山郷土館
それでは宇和島城に行ってみましょう。
天守までの道のりは2つあり、片方は道が急です。
まずは、比較的緩やかな上り立ち門がある南側から行ってみましょう。
上り立ち門―宇和島市指定の有形文化財
これがその上り立ち門です。
宇和島市の有形文化財に指定されており、天守とこの上り立ち門だけが、宇和島城で現存の建造物です。
もう1つのルートだとここは通らないため見逃してしまいがちですが、せっかく宇和島城に来たなら、絶対に見ていただきたい場所です。
この門は、概ね1,600年代に建てられたようです。
こちらも天守と同じく、400年の歴史があるということですね。
石垣―植物に囲まれて
宇和島城の石垣が見えてきました。
苔や葉っぱが付いていて、ちょっと独特ですね。
宇和島城の城山は、珍しい植物の宝庫でもあります。
それだけ戦争や火事に遭っていない証拠ですね。
城山郷土館―宇和島城の歴史
こちらは城山郷土館です。
中には宇和島城や伊達家ゆかりの資料などが展示されており、入場無料です。
天守―歴史的資料とその眺め
さて、天守が見えてきました。
松山城に比べるとこじんまりとはしていますが、立派な天守です。
伊達家の家紋「九曜紋」が見えます。
外観にはいろいろな装飾があるので、じっくり眺めてみるのも面白いですよ。
天守の中―貴重な資料の数々
天守の中には、宇和島城に関する資料が展示されています。
スタンプ―日本100名城
宇和島城は日本100名城の1つ。スタンプも置かれています。
お城めぐりが好きな方は必見ですね。
天守からの眺め―宇和島市を一望
さぁ天守の一番上に着きました。
ここからは、宇和島の町並みが一望できます。
お堀―五角形の秘密
宇和島城は、別名「鶴島城」ともいわれています。
「島」と付くように、もともとは半分海に接していた水城でした。
その堀の形に、藤堂高虎ならではの技巧が凝らされています。
お城のお堀はたいてい四角いもので、お堀に面している道路も垂直に交わっていますが、宇和島城はなんと五角形をしています。
当時は海に隣接していたため、敵に攻められた際は、海から船に乗って逃げることになりますよね。
そのときにお堀が四角形だと、海から逃げるのが丸見えになってしまいます。
そこで藤堂高虎は、お堀の形を五角形にしたのだそうです。
海に接しているお堀を2面にすることで死角を作り、どこから逃げるかわからないようにした、ということですね。
天守にも、その様子が分かる地図があります。左が築城当時の地図で、右がその後の地図です。
登山道北側―険しい道のり
帰りは、北側のルートから帰ることにしましょう。
こちら側は段差がかなり急ですが、自然豊かで山登りのような気分を味わえます。
これもまた、宇和島城の魅力かもしれませんね。
井戸―深さは11メートル!
こちらは井戸です。
案内によると、井戸丸といい、有事のときのために厳重に管理されていたそうです。
井戸の深さは約11mなのだそうです。
桑折氏長屋門
この北側の登山道入り口には、「桑折氏長屋門」(こおりしながやもん)があります。
宇和島藩の家老である桑折氏の屋敷にあったものを移築したそうです。
この門もなかなか立派ですね。
北側から登る場合は、この門が入り口になりますよ。
「宇和島城」の基本情報はこちら
宇和島城の基本情報は下記の通りです。
門自体は朝6時から開いているので、朝早くに行くのもおすすめですよ。
施設名 | 宇和島城 |
---|---|
住所 | 〒798-0060 愛媛県宇和島市丸之内1 |
電話番号 | 0895-22-2832 |
営業時間 | 【開門】6:00~18:30(11~2月は17:00まで) 【天守・郷土館】9:00~17:00(11~2月は16:00まで) |
入場料 | 【天守】大人200円(中学生以下無料)、65歳以上160円 【郷土館】無料 |
休館日 | 【天守】無休 【郷土館】月曜日 |
駐車場 | あり(1時間100円) |
HP | https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/ujoushiro.html(宇和島市) https://www.uwajima.org/spot/index7.html(うわじま観光ガイド) |
アクセス
JR宇和島駅から宇和島城の北側登山道入り口までは、徒歩15分ほどです。
歩くのが大変なときは、タクシーを使うのをおすすめします。
車の場合は、松山自動車道の宇和島朝日インターを降りて10分ほどです。
駐車場
駐車場は、北側登山道入り口近くの市営駐車場が便利です。
Googleストリートビュー
最後にストリートビューです。
天守までの登山道も見ることができますよ!
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